アンコウにイクラ、そしてマグロの大トロ…。産地でしか味わえないようなぜいたくな魚介料理を集めたイベントが、17日から始まった「第2回ジャパン・フィッシャーマンズ・フェスティバル~全国魚市場&魚河岸まつり」(同実行委員会主催)だ。今回出展したのは漁師めしや磯料理を扱う計50店。約100種類もの看板料理から、おすすめのメニューを紹介する。(WEB編集チーム 三枝玄太郎)
開催初日のランチタイム、会場となった東京・日比谷公園は、多くの人でにぎわっていた。さて、どこの店から味わうか…。
チラシを見ると「前回人気No.1メニュー!」の宣伝文句が目についた。宮城県加美町の「あんこう肝鍋」だ。前回の3月に行われた第1回目のフェスティバルで堂々、人気ナンバーワンに選ばれたという。
「海のフォアグラ」といわれるあんこうの肝がふんだんに使われているのはもちろん、長ネギ、白菜、大根、ニンジンが豊かな食感を生み出している。このフェスのために6千食分が用意されたという。
ぜいたくに使ったあんこうも絶品だが、なんといってもみそがおいしい。一般のスーパーでは置いていない特別なみそで仕立てた汁を味わう。一口含んだだけで幸せな気分になる。宮城県大崎市の味噌蔵から取り寄せた自慢の無添加の品。常温で発酵、熟成させているから、あん肝の「濃い」味わいを引き立たせる。これで700円は、素直に安いと思った。
同じく宮城県加美町の「近海真鱈 白子鍋」には、主に青森から宮城にかけた太平洋の近海産のタラの白子がたっぷり。しめじ、白菜、長ネギ、木綿豆腐が入ったしょうゆ仕立ての熱々の汁で食べる。澄み渡った秋の空の下で味わうと、さらにおいしい。身も心も温まる。これも700円とリーズナブルだ。
とりわけ長い行列ができていたのは、北海道小樽市の「北海道直送こぼれいくら丼」だった。何しろ一食で並で240グラム、ミニでも180グラムと、たっぷり入っている。文字通り、器からこぼれ落ちそうな量だ。この料理を提供する北海亭の社長、池田晃之さん(47)=北海道室蘭市出身=が「最近はイクラが高騰して仕入れが大変でしたが、フェスティバルのために頑張りました」と言うだけあって、何ともぜいたくだ。ミニで1800円、並は2800円という値段だが、このボリュームと厳選されたイクラのプリップリの食感を味わえば、十分納得できる。
鳥取市の「蟹甲羅焼き」は紅ズワイガニの甲らにカニの脚が入り、蟹みそをふんだんに使って甲羅を焼いて煮立てている。左党が喜びそうな味だ。蟹みそのほんのりとした苦みにみりん、日本酒が合わさって体が芯から温まってくる。
神奈川県からは「湘南海鮮クリームコロッケ」。一見、普通のコロッケだが、一口食べてびっくりした。ベシャメルソースにシラスがたっぷり入って、口いっぱいに磯の香りが広がった。しかも、大振りのエビも。これはやみつきになるおいしさだ。
「手でドサッとすくってコロッケに入れましたから」。今回がフェス初出店となる「中華みはる」の関根三男社長(67)は笑う。
さすがに、おなかがいっぱいになってきた。帰ろうと思ったが、豪快なマグロの解体ショーを見て、もう一品食べたくなってしまった。
築地かんぺい会が提供する三食丼(2000円)だ。長崎・鷹島で養殖された新鮮なマグロの大トロ、中トロ、赤身がぜいたくにのっかっている。イクラやエビも入っていて、得した気分になった。うん、うまい!
おなかはいっぱいのはずなに、残さずに食べてしまった。
ほかにも、「北海道産帆立貝柱だしラーメン」や「北海道シーフードパエリア」、「海鮮おでん」といった工夫を凝らしたメニューもある。約100種類のメニューを制覇するのは、4日間の期間中には難しいが、仲間と来て、分け合って味わうのもいいだろう。今回味わった計6品はどれも好きだが、特にだしが効いた鍋料理は、晩秋のこの時期にはうまさが身体にしみた。
◇
イベントは20日まで。17~18日は午前11時から午後9時、19日は午前10時から午後9時、最終日は午前10時から午後6時まで。